歯科金属・アマルガム ~ 安全性を徹底した除去治療
毒性のある歯科金属
歯に詰めたり被せたりする金属の中には、毒性のある金属が含まれる合金があります。金銀パラジウム合金、水銀アマルガム、ニッケルクロム合金、銀合金など様々なものがあります。歯科金属が体に合わないと、アレルギーや全身の疲労感、不眠などの原因になることがあります。そのため、近年では歯科金属を除去し、金属でない材質の歯に置換を希望される方が増加傾向にありますが、この歯科金属は除去するときに有害物質をまき散らすことになるため、「安全な方法で除去する」必要があるので、注意すべき点です。
口腔内の歯科金属の状況(除去をお勧めする理由)
金銀パラジウム合金のケース
写真左端の銀歯は治療してから日が浅いものですが、右の3本は、まっ黒に変色しています。これは金属が腐食しているためです。本来口の中のような体内に使用する材料は、何十年も変化しないようなものが使用されるべきです。口の中は100%の湿度で、熱いものや冷たいものに何十年とさらされる環境です。
健康保険制度で認められている金属は「卑金属(ひきんぞく)」と呼ばれる金属の合金で、卑金属はさびやすいのです。
健康保険を使用しないのであるなら、「貴金属(ききんぞく)」や「セラミック(自然な白さを再現可能で金属でない陶器のような材質)」など変化しにくい材料が使用できます。金属が錆びると最悪「金属アレルギー」などの全身の病を患うことがあります。
水銀アマルガムのケース
アマルガムは長年歯科治療で用いられてきました。銀・スズ・銅などの金属を水銀に加えて作られるもので、全体の約50%の水銀を含有しています。
口の中にアマルガムが使用され始めた経緯は、硬化したアマルガムは非常に安定しており、体内に吸収される危険性は少ないといわれていたためです。しかし、実際は3年以内でほとんどのアマルガムは劣化し、約10年後には60~84%が消失する結果を出している研究者もいるほどです。消失した水銀化合物は体内へ取り込まれます。
よって、全身の健康に様々な悪影響を及ぼす可能性が指摘されており、多くの疾患に関与するといわれています。
代表的な疾患
- 自己免疫疾患(関節リウマチ、強皮症、アトピー性皮膚炎)
- 動脈硬化症(心筋梗塞、脳障害)
- 多発性硬化症、神経細胞障害
- 癌
- 自閉症
- 繊維筋痛症
- メタボリックシンドローム
- 鬱、統合失調症
- 歯科疾患
- 胃腸障害(低酸症、食物アレルギー)
- 自律神経失調症(不眠、発汗異常、手足冷感)
当院では アマルガムの除去をおすすめしておりますが、ただし、アマルガムの除去には様々な注意が必要です。何も対策せずに除去するくらいなら、しない方が良いくらいリスクがあります。
銀合金のケース
写真は治療のために外した金属です。一番上の金属は まっ黒く変色しています。これは 歯の中に入っていた、歯を補強する土台です。健康保険で認められている銀合金です。銀のアクセサリーがすぐに黒変するのは良く知られていますが、そのような物は、できればお口の中には入れたくないものです。実際、この金属が入っていた歯の根の先には膿がたまっていました。
現在は金属(メタルコア)に代わる非金属の土台(ファイバーコア)があります。
安全な歯科金属除去
安全な歯科金属除去対策を行う理由
当院では体への悪影響を考え、アマルガムなどの歯科金属は積極的に取り除くことをお勧めしておりますが、ただ、何も対策を講じることなく除去するのはお勧めしません。飲み込んだり、揮発した水銀を吸い込む可能性があるためです。
アマルガムが口の中にある患者さまをはじめ、アマルガムを除去する側である歯科医師、スタッフもある意味命がけといえます。安易にアマルガムを除去する歯科医師はまだ多くみられますが、そのようなケースでは多くの水銀を体内にため込んでいる可能性があります。実際、しっかり対策をしないで除去を行っている歯科関係者の毛髪を分析すると、多くの場合、水銀が高い値で検出されます。
当院では、アマルガム除去の際、歯科医師をはじめとするスタッフは、「ガスマスク」「使い捨てのガウン」等を用いた完全防備、患者さまは「ラバーダム」「高濃度ビタミン点滴」「酸素マスク」、診療室(完全個室)には「口腔外バキューム」など徹底した防備で行います。無防備にアマルガム除去されるくらいなら、除去しない方が良いくらいなのです。
アマルガム除去時の対策
対策
スタッフ
- ガスマスク
- 使い捨てのガウン
患者さま
- ラバーダム
- 高濃度ビタミン点滴
- 酸素マスク
診療室
- 個室診療室
- 口腔外バキューム
アマルガム除去の方法
当院では「USRA法(Ultimate Safe Removal of Amalgam)」にて、アマルガムを安全に除去します。 有毒物をいかに安全にとるかが非常に大事になります。アマルガムの削りかすや水銀蒸気を、患者さまも歯科医師もその他スタッフも吸い込まないために完全に防御します。
当院では、アマルガム除去の第一人者の歯学博士、木村先生の提唱されているUSRA法をとりいれています。アマルガム除去の前にはサプリメントを飲んでいただくところから始めます。
高濃度ビタミンC点滴を行います。
歯には「ラバーダム」と呼ばれるゴムをかけ、歯の部分だけを露出させ、口腔内と隔離します。
歯科医師、助手はガスを吸わないように「防毒マスク」をし、使い捨てのガウンを纏います。
飛び散るアマルガムの削りかすや、蒸散した水銀のガスをし吸い取ってくれる「口腔外バキューム」を使用。
他にも2重3重の防護をします。ここまでやることで、安全性を高めたアマルガムの除去が可能となります。